最前線コラム

80年間培ってきた技術力で独自機構のEV/HEV用ギヤボックスを開発!【ユニバンス】

 ユニバンスは、マニュアルトランスミッション、FR 車用トランスファー、FF 車用PTU、自動車用機能部品など、くるまの走りを支える駆動系ユニットの開発から組み立てまで、一貫生産を行う専門メーカーです。1937 年の創業以来、80 年間培ってきたものづくり技術を応用し、要素技術開発の成果と交え、今後は電動駆動用ギヤボックスの開発にシフトしていきます(図1)。

図1 多種多様なものづくり技術


 その成果のひとつとして、EV/HEV用ギヤボックス「Dual Motor Multi Driving Mode e-Axle」を開発中です (図2)。

図2 インバータ一体48Vモータを採用した例


 この製品は、車両の走行状況に応じて、4 つの出力モードを切り換えることができ、モータの効率のいい範囲をより多く使えるように考えられた、2 モータ& 2 スピードのデフ内蔵型のギヤボックスです(図3・図4)。

図3 1Motor & 1Speed の高効率領域

図4 2Motor & 2Speed の高効率領域

[特 長]
 ・低電費               パワートレイン高効率領域の拡大
 ・低コスト            小型量産モータの使用により、低コストながら高出力
 ・良好なドライバビリティ   独自2speed 機構によるシームレス変速


 構造は入力軸上に左右ふたつのモータを配置した3 軸構造で、左右に同じモータを付けるだけでなく、大きさの異なるモータを取り付けることも可能です(図5)。

図5 スケルトン


 入力軸にドグクラッチによる2速切り換え機構を設け、これを切り換えることにより、ふたつのモータの駆動力をひとつにすることで、ハイパフォーマンスを実現し、より電費向上に貢献いたします。
 また2軸上にワンウェイクラッチを配置し、シームレスなモード切り換えを可能としています。
 普段はHigh 側モータ走行し、Low 側のモータがフリクションになってしまうこともありません。
 A Position およびB Position の両方でLow 側モータのトルクでアシストすることが可能です。回生は1 モータ、2 モータ両方のパターンでエネルギーを回収することができ、電費向上に貢献します。
 

1.Lowモード

図6 Lowモード

 モータ1のみを駆動し、Low Gearを介して動力を出力します。 このモードで出力可能な駆動力はグラフの赤網掛け部となります。 このうち濃赤網掛け範囲が高効率な領域となります。
 
 

2.Highモード

図7 Highモード

 モータ2のみを駆動し、High Gearを介して動力を出力します。このモードで出力可能な駆動力はグラフの青網掛け部となります。このうち濃青網掛け範囲が高効率な領域となります。
 またこのモードでは2軸上のワンウェイクラッチによりモータ1は停止した状態となるため、モータ引き摺りによるロスを低減することができます。
本モードは高速巡航時の使用を想定しています。
 
 

3.Low+Highトルク合体モード

図8  Low+Highトルク合体モード

 モータ1動力はLow Gear、モータ2動力はHigh Gearで減速し、2つを合計した動力を出力します。 このモードで出力可能な駆動力はグラフの緑網掛け部となります。このうち濃緑網掛け範囲が高効率な領域です。
本モードでは出力トルクが大きく、発進加速や低速登坂での使用を想定しています。
 
 

4.Low+High直結モード

図9  Low+High直結モード

 1軸のクラッチを締結し、モータ1及びモータ2の動力をHigh Gearを介して出力します。このモードで出力可能な駆動力はグラフの緑網掛け部となります。このうち濃緑網掛け範囲が高効率な領域です。
本モードでは高速走行時の加速等での使用を想定しています。
 
 

5.回生モード(2パターン)

図10  上:回生モード① 下:回生モード②

回生モード①
 モータ1つで回生する場合です。
回生モード②
 1軸のクラッチは締結しておき、モータ2つで回生するモードです。
回生モード①に比べ、より多くのエネルギーを回収することができます。
 
 これからもユニバンスは、さまざまな技術でお客さまの期待に応える製品をお届けします。


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2019年5月1日発行
次世代自動車技術最前線2019より転載

  


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